わかみず会

わかみず会

2019年(平成31年/令和1年)
開催回・開催日

第458回(2019/11/27)

発表題目

氷期はもうしばらく来ない説について

発表者

加藤 真一

資料

PDF形式でみる

内容

今の地球は氷河期にあり、ここ百万年は、ほぼ十万年周期で長い氷期と短い間氷期を繰 り返してきた。人類は約一万年続く温暖な間氷期に、農業・牧畜を開始し文明を発展さ せ人口を増やしてきた。過去の周期から、そろそろ温暖な間氷期が終わり寒冷な氷期に 入ることを予想する説もある。

今回紹介する論文は、太陽の日照量とCO2濃度の関係から、すでに氷期に入る機会を辛 くも免れ、次の氷期への移行は五万年以上先と予想する。

難しい数式や議論は追いかけられませんので、本論文を読むにあたって漁った背景資料 も含め、背景や趣旨、結論を簡潔に紹介し、更にその延長にある将来の温暖化に関する 論文も紹介しようと考えています。

対象とする論文: Critical insolation?CO2 relation for diagnosing past and future glacial inception   A. Ganopolski, R. Winkelmann & H. J. Schellnhuber    Nature volume 529, pages 200?203 (14 January 2016)

その解説: 今の人類が大寒冷期とニアミスしていたことを知ってましたか? そして次の寒冷期の 到来は? https://news.yahoo.co.jp/byline/emoriseita/20180603-00086007/

開催回・開催日

第457回(2019/11/13)

発表題目

同期生産方式とスケジューリング

発表者

手島 歩三

資料

PDF形式でみる

内容

昨年11月に『中小・零細企業の悩み「納期見積り」についてアドバイスいただきたく』 課題を説明し、皆様からアドバイスをいただきました。 皆様に説明した目的は、より ましなスケジュールを策定できるよう、スケジューラを改良することでした。

今回は、私どもが研究して来た解決策について紹介します。私たちの解決策は生産スケ ジューリングです。ただし、現在、幾つかの学会で取り上げられているスケジューリン グ技術は必ずしも日本の製造業の実務に役立っていません。

そこで、第一部で生産スケジューリングが製造ビジネスとどうかかわるか、「生産管理 方式とスケジューリング」について説明資料を作成しました。この部分は、事前に目を 通していただくことにして、第二部で本題の生産スケジューリングについて説明します。 私たちのスケジューラは工場の設備や人の働き方を模倣し、生産計画がどのように実行 され、達成されるかシミュレーションするものです。つまり、「なりゆき」を調べるだ けで、optimizeはしません。甚だやわなスケジューラです。

幾つかの企業で実用していただき、生産スケジューリングの意味が想定外のところにあ ると感じました。第三部でその状況を説明します。

開催回・開催日

第456回(2019/10/30)

発表題目

ゲノム編集(1)

発表者

鈴木 勝

資料

PDF形式でみる

内容

近年、生物のゲノムを自由に編集する技術が開発されて、多くの応用分野で 急速に研究開発と実用化が進められています。「ゲノム編集」について紹介 したい内容が多岐にわたりますので、次のように2回に分けさせていただきます。

・10月30日:第1回「ゲノム編集の基本原理」
・12月11日:第2回「ゲノム編集の応用と課題」

<第1回の内容>
1.ゲノム解析の基礎知識
2.ゲノム編集と遺伝子組み換え
3.ゲノム編集の基本原理
4.代表的なゲノム編集ツール
5.ゲノム編集ツールによる遺伝子の改変

<参考文献>
@「ゲノム編集の基本原理と応用 ― ZFN,TALEN,CRISPR-Cas9」山本 卓、裳華房、2018/6
A「ゲノム編集の光と闇 ― 人類の未来に何をもたらすか」青野 由利、筑摩書房、2019/2
B「遺伝子医療革命 ― ゲノム科学がわたしたちを変える」フランシス・コリンズ、NHK出版、2011/1
C「CRISPR (クリスパー) ― 究極の遺伝子編集技術の発見」ジェニファー・ダウドナ、文藝春秋、2017/10

開催回・開催日

第455回(2019/10/16)

発表題目

素人による経済学説史の学習(ケインズ編)

発表者

峰尾 欽二

資料

PDF形式でみる

内容

素人を対象にした、経済学の主要学説を紹介した2著 『経済学をめぐる巨匠たち』(小室直樹、ダイヤモンド・グラフィック社、2004) 『思想としての近代経済学』(森島通夫、岩波書店、1994) を取り上げ、アダム・スミス、デビット・リカード、レオン・ワルサス、カール ・マルクスをシリーズとして紹介してきましたが、最後にどうしても避けられな い対象としてJ.M.ケインズがいます。

二著では触れられていない部分を若干補足して、シリーズの最後とします。

開催回・開催日

第454回(2019/10/2)

発表題目

気候で読む日本史(文庫本)の紹介と最近の私の遊び

発表者

若鳥 陸夫

資料

PDF形式でみる

内容

◎第一部“気候で読む日本史”[田家康(たんげやすし)]の紹介

日経ビジネス人文庫として刊行された“気候で読む日本史”は、以前にわかみず 会で紹介した“気候で読み解く日本の歴史”を文庫化したもので、体裁を変えた 上に、“気候変動や異常気象の実態とその被害を年代毎に並べただけでなく、そ の時々の為政者や庶民の対応に焦点を当てたものにしている。また、古代以来、 異常気象が農業の凶作を引き起こし、食糧不足による大飢饉をもたらしてきたこ とから、気候変動に強い農業生産を目指した農業技術の発達という視点を軸に置 いた。単なる過去の歴史物語ではなく、今日にも続く課題としてお読みいただけ れば幸いである。 ”――文庫本のまえがきから引用

◎第二部 最近の私の遊び

ここ10年間,私は,長波(135kHz)、中波(472kHz)の機器設計製作、運用、伝搬 の研究などを行っている。これらの周波数帯はアマチュア無線として解禁されて いるが市販の無線機がほぼないこと、アンテナの放射効率が低いこと、ニュース 源があまりないことなどから、日本国全土で135kHzの免許所持者が約200人、472 kHzの免許所持者が約60人だけであり、実際に電波を飛ばして報告をもらった人 は20-30人程度しかいない。しかも、愛好者は、ほぼ、関東に集中している。 私も試行錯誤で送信機を設計製作して、実際に電波を発射して、アラスカ、ハワ イ、オーストラリアまでは飛ばしたりした。 受信は24時間計算機援用によって実施しており、秋分の日から春分の日までの半 年間であれば、ハワイ、オーストラリアなどに自動受信レポートを送っている (WSPR,ソフトウエア作者はノーベル物理学者のJoseph Teylorである。 この中での苦しみ,楽しみを紹介する(電子記録は,URL参照)。 URL: http://www1.u-netsurf.ne.jp/~7l1rll/radio.html

開催回・開催日

第453回(2019/9/18)

発表題目

分析哲学断章(1) 定義:「現代思想」(2017.12、分析哲学特集)紹介・所見

発表者

柳生 孝昭

資料

PDF形式でみる

内容

筆者は「わかみず会」の話題として幾つか、分析哲学系の文献やその流儀の論述 を紹介し(資料[6.0]〜[6.13])、また筆者自身の関心の対象についての分析の 試みを、報告して来た(資料 [7.0]〜[7.8])。進行中の「無分別の哲学」も、 その一環である。

先般、偶々書店で目にした標記の冊子が、多様な主題に関わる、分析的方法の近 時の傾向を瞥見するに恰好な読み物と見受けられたので、批判的に紹介する。そ れに先立ち、手元の著作から、定義、概要、及び歴史を知るに適切な部分の要約 を記した。

続いて次回以降に、馴染みの主題ではあるが、時・空間の方向性・等方性、及び 因果関係の定式化について、再訪を試みる。

開催回・開催日

第452回(2019/9/4)

発表題目

分析哲学断章(0) 定義: 分析哲学とは何か?

発表者

柳生 孝昭

資料

PDF形式でみる(2019/9/17改訂).

内容

筆者は「わかみず会」の話題として幾つか、分析哲学系の文献やその流儀の論述 を紹介し(資料[6.0]〜[6.13])、また筆者自身の関心の対象についての分析の 試みを、報告して来た(資料 [7.0]〜[7.8])。進行中の「無分別の哲学」も、 その一環である。

先般、偶々書店で目にした標記の冊子が、多様な主題に関わる、分析的方法の近 時の傾向を瞥見するに恰好な読み物と見受けられたので、批判的に紹介する。そ れに先立ち、手元の著作から、定義、概要、及び歴史を知るに適切な部分の要約 を記した。

続いて次回以降に、馴染みの主題ではあるが、時・空間の方向性・等方性、及び 因果関係の定式化について、再訪を試みる。

開催回・開催日

第451回(2019/7/3)

発表題目

Montague意味論 PTQ

発表者

山崎 利治

資料

PDF形式でみる

内容

20世紀後半に言語学は二つの革命に遭遇し、形式化が急速に進みました。 ひとつは構文論のChomskian革命で、もうひとつは意味論のMontagovian革命です。 以前 Lambek の範疇文法をお話しましたので、今回はMontague 意味論を紹介し たいと思います。

開催回・開催日

第450回(2019/6/19)

発表題目

代替集合論* (Alternative Set Theories)

発表者

古賀 明彦

資料

PDF形式でみる

内容

19世紀後半に提案された集合論はそれまでの数学に基礎を与え、さらに、「無限」 についての新しい数学の一分野を開くかに思えたが、ラッセルのパラドクスなど の顕現でその試みは頓挫した。その後パラドクスを回避する色々なアプローチが 試され、公理的集合論ZFC が纏められた。

そうして出来た ZFC はかなり自制的な公理群を採用しており、集合への人々の 素朴な願望や要求を必ずしも満たしていない。例えば計算機科学でもよく使われ る圏論ではすべての集合の集まりを扱うが、ZFC でこれに直接対応するものがな い。パラドクスを避けるためにZFC ではこのような大きな集まりを思考対象とし ていない。他にも集合以外の要素の排除、「属する」関係の無限列の禁止などの 制限がある。このため ZFC の公理を一部変更した変種や ZFC と別系統の集合論 も提案されている。

今回はこれら代替的な集合論を "M. R. Holmes, T. Forster, T.Libert : ALTERNATIVE SET THEORIES (2012)" を中心に調べた。まず素朴集合論とそれが はらむパラドクス、ZFC について述べ、次のような集合論についてカタログ的で はあるが概要を述べる。クラスを持つ集合論、アトムを持つ集合論,基礎の公理 の否定公理を持つ集合論、Quine の New Foundations 等,Positive 集合論、超 準解析向きの集合論

(*) Alternative Set Theories の定着した訳語が分からなかったので取り合えず 「代替集合論」というタイトルにした。

開催回・開催日

第449回(2019/6/5)

発表題目

2階算術の公理系と逆数学

発表者

川辺 治之

資料

PDF形式でみる

内容

2階算術(ペアノの算術+集合変数をもつ体系)の上で解析学を展開するために、 ペアノの公理系に集合存在公理(図式)や帰納法の公理を追加したいくつかの 公理系が考案されている。また、それらの公理系の中で証明されるよく知られた 解析学の定理どうしや公理との同値性を示すことができる。

これらについて、主として今年1月に刊行されたジョン・スティルウェル著 『逆数学:定理から公理を「証明」する』の一部分を紹介する。

開催回・開催日

第448回(2019/5/22)

発表題目

はやぶさ2 リュウグウへのタッチダウン
ミッションにおける画像計測技術の貢献

発表者

弊社社員

資料

社外非公開

内容

探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウへのタッチダウンを行う際に撮影された 画像データのみを用いて画像計測を行い、リュウグウの3次元形状復元と はやぶさ2の移動軌跡推定を実施しました。そこで用いた画像計測技術に関して ご紹介します。

開催回・開催日

第447回(2019/5/8)

発表題目

フレーム問題について

発表者

松田 裕幸

資料

PDF形式でみる

内容

フレーム問題を深層学習の視点で再考してみる。

開催回・開催日

第446回(2019/4/24)

発表題目

歴史分析を理論化する方法

発表者

小島 俊雄

資料

PDF形式でみる

内容

社会科学に関係する分野への系統体系学の適用についての本を紹介してきました。 社会科学における方法論について、ジャレド・ダイアモンド他「歴史は実験でき るのか」と保城広志「歴史から理論を創造する方法-社会科学と歴史学を統合する」 の2冊を読んで知った内容をご紹介します。

開催回・開催日

第445回(2019/4/10)

発表題目

カントの「数学の哲学」

発表者

染谷 誠

資料

PDF形式でみる

内容

つぎの参考書にしたがってカントの「数学の哲学」について紹介します。  『数学を哲学する』 スチュワアト・シャフィロ著 金子洋之訳(筑摩書房)

カントは18世紀の哲学者。その役割は「17世紀は、ルネ・デカルト、アイザック・ ニュウトン、ゴットフリィト・ヴィルヘルム・ライフニッツのような人々を通して、 科学と数学における大きな革命を体験してきた。カントは、この新しい科学発展に 対して哲学的な評価を行う位置にたっていた」(「」は上記参考書からの引用。 以下同様)。この時代の哲学には二つの主要な学派がありました。合理主義と経験 主義です。この時代の数学の哲学の主要な課題はつぎのふたつ。

(1)「数学的真理は、一定の必然性を備えているように、少なくとも見えはする」 ことについて説明すること、と

(2)「物理的世界への数学の応用可能性」について説明すること。

課題(1)については、合理主義者は「大まかにはフラトン的な路線に沿って、 これにスムウズな説明を与えている」。経験主義者は、「これほど端的な説明を 彼らがもっているわけではない」。経験主義者の説明は「数学的必然性の弱い把 握でしかないように思われる」。

課題(2)については、経験主義者は「この点では経験主義者はよりうまくやっ てきた」。経験主義者の主張は、「数学者は、観察された物理的諸対象の間に成り 立つ一定の物理的関係をまさに間接的に研究している、ということだ」。

合理主義者には、この経験主義者の説明は、「利用できない」。「合理主義者の 課題は、まわりの世界のうちでわれわれが知覚する諸対象、科学で研究する諸対象 に、生得的に把握された永遠の数学的対象がいかにして関係するのか、を示すこと だからである」。

課題(1)については、合理主義者は経験主義者と比べて、よりスムウズな説明を もっているが、課題(2)は、経験主義者が端的な説明をもつのに対して、合理主 義者には困難となる。

カントは、「それぞれのもっとも妥当と思われる特性をうまく捉まえて両者の総合 を試みようとした」。「その結果は、数学の必然性と数学的真理のア・フリオリな 本性を説明しよう、ないし[学説に]取り込もうとする一方で、経験科学における数 学の位置、特に観察された物理的世界への数学の応用可能性を説明しよう、ないし 取り込もうという、勇敢な企てとなって現れた。」

このことを参考書に従ってたどってみようと思っていますが、どこまでたどれるか。

開催回・開催日

第444回(2019/3/27)

発表題目

Fregeの定理:Humeの原理に基づく算術体系の構成

発表者

柳生 孝昭

資料

PDF形式でみる

内容

1月16日の例会にて、1930年代に衰退した論理主義が、1980 年代以降、G.Fregeの   (B. Russellの指摘を始め、顕わになった矛盾によって)埋もれた業績の一端を回 復すべく抬頭した新論理主義の概要と、論理主義のもう一方の主導者Russellの立 場との差異を、紹介した。

新論理主義の眼目は、Basic Law VからのHumeの原理(HP)の証明、HPに基づく Dedekind / Peano 算術体系の構成(Frege の定理)、及び公理としてのHPの措定 に拠るP. Benaceraffの二律背反への回答、に在る。しかしFregeの定理そのもの については、殆ど触れなかったので、今回、SEP記載のE.N. Zalta: Frege's Theorem and Foundations for Aithmeticを要約、釈義と所見を加えて紹介する。同論文は 2階述語論理に始まり、概念、外延、其・序数、自然数、Basic Law V、HP、Frege の定理、哲学的検討に及ぶ、詳細。入念な長編であるが、説明が冗長でもあるので、 論理・数学、哲学的内容を損なうこと無く、分量を約1/5に減じた。

開催回・開催日

第443回(2019/3/13)

発表題目

近代経済学の数学的定式化、その一端

発表者

柳生 孝昭・鈴木 利一

資料

PDF形式でみる(資料1)

PDF形式でみる(資料2)

内容

素人を対象にした、経済学の主要学説を紹介した2著 『経済学をめぐる巨匠たち』小室直樹 (ダイヤモンド・グラフィック社、2004)文献1 『思想としての近代経済学』森島通夫 (岩波書店、1994)文献2 をシリーズとして紹介している。アダム・スミス、デビット・リカード、レオン・ ワルサスは済んでおり、いまはカール・マルクスを対象としている。

文献2ではマルクスの経済理論は論じていない。もう一つの大きな業績である歴史 分析への貢献(史的唯物論)を論じている。そのため、参考文献としてあげられている、 (専門家を対象にした) 『森島通夫著作集7ーマルクスの経済学』森島通夫 (岩波書店、2004)文献3 を検討対象とする。前回は、『マルクスの経済学』の価値論の途中で終わってしまった ために、今回はその続きをやります。

開催回・開催日

第442回(2019/2/27)

発表題目

素人による経済学説史の学習ーその__3

発表者

鈴木 利一

資料

PDF形式でみる

内容

素人を対象にした、経済学の主要学説を紹介した2著 『経済学をめぐる巨匠たち』 小室直樹 (ダイヤモンド・グラフィック社、2004)文献1 『思想としての近代経済学』 森島通夫 (岩波書店、1994)文献2 をシリーズとして紹介している。アダム・スミス、デビット・リカード、レオン・ ワルサスは済んでおり、今回はカール・マルクスの番である。

文献2ではマルクスの経済理論は論じていない。もう一つの大きな業績である歴史 分析への貢献(史的唯物論)を論じている。そのため、参考文献としてあげられている、 (専門家を対象にした) 『森島通夫著作集7ーマルクスの経済学』 森島通夫 (岩波書店、2004)文献3を検討対象とする。 しかし、正直なところ、『資本論』の一部を数理経済学で解釈し直した本書には歯が立 たなかったことを告白しておきます。しかし、われわれにとって、新鮮な発見を見いだ すことができます。

初学者が『資本論』の学習を始めると、「価値論」で挫折することが多いらしい。 この会でも、かつて「価値論」論争があったらしい。らしいと言うのは、私は当日の講 演を欠席しており、それ以降の野口ー柳生論争の往復書簡を散見したに過ぎないからである。 論争は「発散」したと理解している。 敢えて、ここでも、労働価値論を中心に紹介する。

開催回・開催日

第441回(2019/2/13)

発表題目

AI 思い入れ さまざま

発表者

大野 q郎

資料

PDF形式でみる(資料1)

PDF形式でみる(資料2)

内容

ここ何回か「AI をどう捉えるか」について、オールドタイマのプログラマにもなじみ そうな「プログラム=アルゴリズム+データ構造」という視点の延長上で解説を試みま したが、メンバーの皆さん全員の同意(知覚的にも感覚的にも)はえられませんでした。

そこで、今回は、週刊誌や全国紙が論うAIとは異なる、やつ枯れがAIとして興味をもつ 人工知能の諸課題を、順不同で挙げてみます。課題の一例は次のようで、各分野の第一 線の専門家による文獻のさわりを引用・抜粋しました。 囲碁/母語・縄文語語法/英文法/進化論/相関・因果/宗教・哲学 (山崎さんの「仏陀…論」)… ただし、アルゴリズムや巨大データが手に入ったとき、いかにも解けたような気がする 課題(いわゆるAI屋に多い)でも、小学生にも分かるように納得させられなければ、解 決ずみのAI とはみなしがたいという強い立場をとります。

開催回・開催日

第440回(2019/1/30)

発表題目

世界を変えた手紙

発表者

岡野 豊明

資料

PDF形式でみる

内容

キース・デブリン「世界を変えた手紙」(パスカル、フェルマーと確率の誕生)の紹介です。

「俗人(メレ)が禁欲的ジャンセニスト(パスカル)に問うた偶然のゲームに関する問題が 確率計算の起源である。勝負が中断されたとき賞金をどのような比率で分けるべきかが問題 であった。」(ポアソン)

メレがパスカルに問うた問題とは以下のようなものです。 「AとBがバッラという公平なゲームを戦っている。彼らは一方が6回勝つまでこのゲームを 続けることに同意している。Aが5回勝ち、Bが3回勝ったところでゲームを止めたとする。 賭け金はどのように分配すればよいだろうか?」 みなさんもパスカルになったつもりで考えてみて下さい。 (ヒント:答えは驚くほど簡単です)

開催回・開催日

第439回(2019/1/16)

発表題目

‘Summary & Criticism on Sebastien Gandon: /Russell and the Neo-Logicists/、AJAPS,2017. 3.

発表者

柳生 孝昭

資料

PDF形式でみる

内容

(1) 歴史的背景 西欧18Cの数学は、収束の混乱、「病的な」関数の存在、非Euclid 幾何の発見等、数々の 難題の挑戦を受け、A.L. Cauchy、K. Weierstrass、J.W.R. Dedekind 等を嚆矢とする解析 学、及びその素材としての実数概念の厳密化の指向が頓に進展した。

世紀末から20C初頭に掛けては遂に、G. Cantor、F.L.G. Frege、D. Hilbert 等による、 更に基本的な要素である自然数、空間、集合の、論理ないし無謬の直観による正当化ない し構築の試みを、見るに至る。

この潮流を貫く指導理念の一つは、全ての数学分野を算術に還元し、究極は論理によって 基礎付ける、即ち算術化・論理主義の提唱であった。実際 Frege は、最初の主著 ‘Begriffsschrift: eine der arithmetischennachgebildete Formel-sprache des reinen Denkens’ (「算術の言語を模した、純粋な思考のための形式言語」、1879) に於いて、2階論理を展開し、興味深い数学的概念を定義し、有意の命題を導いた。 十有余年を経て今度は、‘Grundge-setze der Arithmetik’ (1893/1903) で、更に深い 基礎を求め、‘Basic Law V’ なる論理公理を措定し、そこから、世に「Hume の原理」 と呼ばれるようになる法則を証明、これに基づき、算術の体系を導き出した。 然るに印刷の直前、B. Russell から Basic Law V の矛盾を指摘する書簡が届き、 Frege の構想に致命的な打撃を齎すという御伽噺のような件は、人口に膾炙する所である。

論理主義は1930 年代、不完全性定理の発見や ZF 集合論の進展によって衰退したが、 80年代に入ると、その成果の一部を救済すべく、Neo-Fregeanism、より広くは Neo-Logicism と称する動きが現われて来た。その著しい特徴は、算術の体系を導く 「Frege の定理」の出発点を為す「Hume の原理」の標榜に在る。

(2) 趣旨 では論理主義の他方の柱である B. Russell の立場は、「新論理主義」とどのように相異し、 どのように関わるのであろうか。 Russell については通常、「実体」や「本質」を否定する反 Platonist、固有名を確定記述 に置き換える名目主義者、Frege と共に数学の算術化の共鳴・推進者との印象が強いが、 ‘The Principles of Mathematics’(1903)に在っては完璧なPlatonist であり、 ‘Principia Mathematica‘(1913)に於ける射影幾何の定義は、関係的・非算術的に下される。

一方 Frege による実数概念の導入は、全く算術的とは言えない。 1980 年代に抬頭した Neo-Fregeanismないし Neo-Logicism は、「Hume の原理」から算術の体系を導き出す 「Frege の定理」や Benaceraffが指摘した、数学的言明の真なることの説明と、その真理を 知り得ることの説明の二律背反の解明を中核とする。

論文は Russell の論理主義と Neo- Logicism の差異を軸に、数学諸理論の大局的構成 (Architecture)考察の可能性・哲学的重要性に及ぶ、広範な 議論を展開する。 それを紹介し、若干の批判を加える。

尚、末尾のEdwardN. Zalt: ‘Frege's Theorem and Foundationfor Arithmetic ‘ なる資料は、 HP と Frege の定理を述べるが、大部詳細に亘るので、導入部と目次の記載に留めた。 別の 機会に改めて紹介する心算である。