わかみず会

わかみず会

2012年(平成24年)
開催回・開催日

第314回(2012/12/12)

発表題目

Maxwellの方程式:相対論的変容(2)

発表者

柳生 孝昭

資料

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内容

19世紀末、電磁気学は解決困難な問題に直面し、深刻な危機に陥っていた。 Maxwell の方程式と Galilei 変換、従って Newton 力学との矛盾、電磁現象 が波動であり、その媒質(Ether)の遍在を措定するとして、それは何か、通 常の物質の運動に伴って動くのか否か、然りとすれば、相対性原理は否定され る(光速は可変である)のか、等々の疑問である。

本稿は先ず、この状況の展開と結末、特に Maxwell の理論の論理的構造と内 在する困難の分析、解決のための様々な試み、Ether 説の破綻と光速不変性の 発見について記す。

主部は、逐次加えられる数学的・物理学的仮定によって明確に区別される四つ の段階を追って述べる:

第1は光速不変性と、それのみから導かれる驚くべき結果、同時性の相対化、 運動体の長さの収縮、時間の遅れ、双子の逆説等、次に時空の(Lorentz)変 換が、線型性と空間の等方性という単純・自然な条件から一意的に定まること、 及びそれに基づく相対論的運動学の確立、第3は時空4元 vector としての力の 満たすべき第一原理(運動の法則)の要請、運動量と energy の統一、それら の保存則の応力 tensor による定式化等を骨子とするNewton 力学の相対論化、 最後は Lorentz 力の4元力化、電磁 tensorの導入、電磁 potential と電荷・ 電流vectorの共変性による Maxwell の方程式の再定式化、及び d'Alembert 操作子の共変性を併せて確立される Lorentz 変換不変性、更に諸物理量の変 換則と幾つかの重要な帰結、である。

記述の完結性のために、計算は詳細(細字部分)に至るまで全て示したが、 例会ではこれらは省略し、概念の位階と相互の関係、理論の論理的構造、その 成立過程に於ける物理的洞察(飛躍)と演繹の別、等を焦点に置く。

尚、前回から月日が経っているので、初めに前回の要約をし、12月12日は特殊 相対論とNewton 力学、1月16日は Maxwell の理論について述べる。

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第313回(2012/11/28)

発表題目

ジェラルド・M・エーデルマンの神経ダーウィニズム(2)

発表者

大野 q郎

資料

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内容

日本の物書きによるネオダーウィニズムへの批判と異論を紹介します。資料の 目次は以下です。
 
 1.構造主義風な進化史(池田清彦)
 2.『唯脳論』(養老孟司) まわりの議論
 3.『脳から心へ』(G.M. エーデルマン)抜粋
 4.引用文献・参照文献
 
判らないことが多いので、いろいろご教示いただければ幸いです。

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第312回(2012/11/14)

発表題目

タブロー法

発表者

川辺 治之

資料

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内容

Raymond Smullyan著Logical Labyrinthsの内容に従って、命題論理および1階術 後論理のタブロー法を紹介する。

タブロー法は、論理式が恒真であることを証明する系統的な方法の一つである。 Smullyan流のタブロー法では、タブロー規則を命題論理では2種類、1階術後論理 では4種類にまとめられており、この結果、タブロー法の正確性および完全性の証 明が見通しのよいものになっている。

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第311回(2012/10/31)

発表題目

嘘つきと正直者の論理学

発表者

染谷 誠

資料

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内容

論理学者レイモンド・スマリヤンが考案した、 いつも本当のことを言う騎士と、 いつも嘘をつく悪漢だけが住む島の住民に質問をするという形のさまざまな論理 パズルと、さらにこの状況を複雑にしたものでも、どんなことであれ望みの情報 を住民から聞き出すことができるネルソン・グッドマンの原理を紹介する。

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第310回(2012/10/17)

発表題目

高木貞治先生講演集から「数学基礎論と集合論」

発表者

染谷 誠

資料

内容

この講演が行われたのは昭和9年11月です。基礎論の創成期に当たりますが、話 題は、整列可能定理批判に限られるようです。

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第309回(2012/10/3)

発表題目

文献紹介 高木貞治述『過渡期の数学』(岩波書店)

発表者

染谷 誠

資料

内容

文献を紹介します。珍しい文献だと思います。
 
 高木貞治述 『過渡期の数学』(岩波書店)
 ・昭和十年十月十五日印刷
 ・昭和十年十月二十日第一刷発行


この本を入手したのはもう昔むかしのことで、いつごろのことかも判然としま せん。社会人になってずいぶん年期ははいってから、それでもたまには神田村 に立ち寄ったりする習慣が残っていたころ、くらいのことしか分かりません。 高木先生にはその昔『解析概論』でお世話になりました。神田村のどこかの書 店の棚で「高木貞治述」を見つけたとき、懐かしさから直ちに購入しました。 そしてそのまましまい込んでいました。それが先の大地震のおかげで再会しま したので紹介することにしました。興味をもっていただければ幸いです。

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第308回(2012/9/19)

発表題目

数理パズルをプログラムで解く楽しみ

発表者

前田 英次郎

資料

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内容

数理パズルをプログラムで解く楽しみを『数独』『スリザーリンク』『ぬりかべ』 を材料として紹介します。

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第307回(2012/9/5)

発表題目

データベースシステムを学ぶ

発表者

小島 俊雄

資料

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内容

大学理工系3年生向けに「データベースシステム(90分を15回)」の講義を、10 年近く続けてきています。市販教科書の自習、SQL環境 の構築と自習、雑誌や ネット上の技術情報等をベースに、シラバス作成・教科書の選定、資料の作成・ 講義、試験・評価を行ってきました。
 
  「データベースシステム入門(基礎)」
 

という位置づけで、リレーショナルデータベースについて、データモデル、SQL、 管理システムの順で説明し、 技術トピックと現実のシステムとの関係を展望する という内容です。反省が先に立ちますが、自分の関心事が変わっていく中で、技術 を学ぶ方法としても大切な経験になりました。講義内容と経緯を資料でご紹介し、 オープンソースデータベース、パズルとSQL、情報処理技術者試験、ウェブラーニ ング等についての私見を述べます。

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第306回(2012/7/4)

発表題目

マルクスの価値論をめぐって

発表者

野口 尚孝

資料

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内容

いまや「カビの生えた古い思想」として世間からあまり顧みられなくなったよう に見えるマルクス経済学は、実は、資本主義経済体制の本質的矛盾を解明し得て いるという意味で、現代の資本主義社会のさまざまな矛盾を考えるためにもっと も有力な武器であり続けていると思われる。例えば、グルーバル化した資本主義 社会において、これまで「ものづくり」によって経済的優位に立ってきた日本の 生産企業が、労働賃金の安い国の企業による工業製品が市場を席巻するようにな ったことで、危機に立たされているいま、商品の付加価値を上げることでこれに 対抗しようとしている。しかし、付加価値とは何なのかという問題を誰も深く分 析しようとはしていない。そこで、資本論の冒頭で展開されるマルクスの商品分 析と価値論、およびそれに独自の解釈を加えた宇野弘蔵の価値論を引用して、商 品の価値の本質および価値の分析方法について考察する。
 
 参考文献:K. Marx著、向坂逸郎訳「資本論 第一巻」 (岩波書店、1972)、宇野弘蔵著「価値論」(青木書店、1973)  

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第305回(2012/6/20)

発表題目

ジェラルド・M・エーデルマンの神経ダーウィニズム

発表者

大野 q郎

資料

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内容

ジェラルド・M・エーデルマンによる「神経ダーウィニズム」のさわりをご紹介 します。エーデルマンは、昨年末すでに手島さんが発表されておりますが、そこ では触れられなかった認知言語学寄りの部分を補足します。引用資料と参照資料は、 次です。
 
 ジョージ・レイコフ 池上嘉彦他訳
 『認知意味論』(紀伊国屋書店/1987)
 
 Gerald M. Edelman
 『THE REMENBERED PRESENT』(Basic Books/1989)
 
 G・M・エーデルマン 金子隆芳訳
 『脳から心へ − 心の進化の生物学 −』(新曜社/1992)
 
 Gerald M. Edelman  Giulio Tononi
 『A UNIVERSE OF CONSCIOUSNESS』(Basic Books/2000)
 
 ジェラルド・M・エーデルマン 冬樹純子訳
 『脳は空より広いか』(草思社/2006)
 
 養老孟司
 『唯脳論』(青土社/1989)
 
 池谷裕二  『進化しすぎた脳』(講談社/2007)
 『単純な脳、複雑な「私」』(朝日出版社/2009)
 

さわりの紹介の他に、養老孟司によるエーデルマン批判とエーデルマンの認知言 語理解批判(拙論)をつけ加えました。このあたりの話は、数学基礎論の強い集 合論(ZFC)と弱い集合論(ツエルメロ=フレンケル)との違いにも関係するよう ですが、強制法を身につけていない小生の水準を超えますので、今回は省きます。 素人のにわか勉強のご紹介なので、まとまってないところがあります。いろいろ ご教示いただければ幸いです。紹介の手順は、次の資料(パワーポイントで144枚) の予定です。
 
 唯脳論によるエーデルマン批判 『REMEMBERED』
 神経ダーウィニズム『脳から心へ』
原意識と高次意識 『脳から心へ』
付章:レイコフの認知文法 『脳から心へ』
エーデルマンの認知言語理解批判(拙論) 『脳から心へ』
 
随時、以下を参照します。
 
 ダイナミックコア『脳は空より広いか』
 拡張TNGS『脳は空より広いか』
意識と記憶『UNIVERSE』
再入力信号『REMEMBERED』
時空感覚『REMEMBERED』

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第304回(2012/6/6)

発表題目

科学哲学入門 −第2回− 「理系人に役立つ科学哲学」(森田邦久、化学同人、2010)を読む

発表者

峰尾 欽二

資料

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内容

掲題書を読み、科学哲学とは何か、何に役立つのかを知る縁とします。もくじは 以下のようになっています。(前回のものに誤りがありました。10章が抜けてい ましたので追加します)
 
 T部 科学の基礎を哲学する
   1章 科学と推論−科学で使う推論は問題だらけ?
 2章 科学の条件−科学と非科学とはどう分けられるのか
 3章 科学と反証−科学理論は反証できない?
 4章 科学の発展−どんな科学理論が生き残るのか?
 5章 科学と実在−原子って本当にあるの?
 
 U部 科学で使われる概念を見直す
 6章 説明とは何か−説明を説明するのは難しい?
 7章 原因とは何か−本当の原因はなに?
 8章 法則とは何か−法則はなぜ法則なのか?
 9章 確率とは何か−確率は主観的なものか客観的なものか?
 10章 理論とは何か−科学理論はうそをつく?
 
 V部 現代科学がかかえる哲学的問題を知る
 11章 量子力学の哲学−ミクロな世界は非常識?
   12章 生物学の哲学−進化論は科学か?
 

前回(5月23日)は3章まで進みました。今回はU部からはじめたいと思います。 そのため、T部の残り(4,5章)は資料に目を通しておいてください。資料を お持ちでない方は事務局か発表者にお申し込みください。資料を送信します。

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第303回(2012/5/23)

発表題目

科学哲学入門 −第1回− 「理系人に役立つ科学哲学」(森田邦久、化学同人、2010)を読む

発表者

峰尾 欽二

資料

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内容

掲題書を読み、科学哲学とは何か、何に役立つのかを知る縁とします。掲題書は 科学哲学全般を網羅しており、初心者には適切です。報告者としては、素人が自 然科学の複雑系に挑むのに少しでも参考になれば、と願っています。2回に分けて 報告します。もくじは以下のようになっています。
 
 T部 科学の基礎を哲学する
   1章 科学と推論−科学で使う推論は問題だらけ?
 2章 科学の条件−科学と非科学とはどう分けられるのか
 3章 科学と反証−科学理論は反証できない?
 4章 科学の発展−どんな科学理論が生き残るのか?
 5章 科学と実在−原子って本当にあるの?
 
 U部 科学で使われる概念を見直す
 6章 説明とは何か−説明を説明するのは難しい?
 7章 原因とは何か−本当の原因はなに?
 8章 法則とは何か−法則はなぜ法則なのか?
 9章 確率とは何か−確率は主観的なものか客観的なものか?
 10章 理論とは何か−科学理論はうそをつく?
 
 V部 現代科学がかかえる哲学的問題を知る
 11章 量子力学の哲学−ミクロな世界は非常識?
   12章 生物学の哲学−進化論は科学か?
 

ただし、第10章の「量子力学の哲学」は、今回の報告では割愛します。対象領域 に関する一定の知見がないと哲学的にも議論できないからです。

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第302回(2012/5/9)

発表題目

機械学習による画像認識技術

発表者

谷口 達樹

資料

内容

実験動物の固体判別の自動化プロジェクトの実績事例紹介。標本となる多数の画 像をHaar-like特徴量という指標を用いて予めパターン学習し、リアルタイム映 像に対して学習済みパターンとの照合を行います。

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第301回(2012/4/25)

発表題目

純粋関数型アルゴリズム入門

発表者

加藤 公一

資料

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内容

Chris Okasakiによる書籍「Purely Functional Data Structures」の解説を行う。 アルゴリズムやデータ構造が純粋関数型であるとは、元のデータ構造を破壊せず 参照透過性を保持するという意味である。そのような縛りの下では、通常のアル ゴリズムより計算量的に不利になることが多いが、問題によっては遅延評価など の工夫により純粋関数型でも十分な計算量を達成できることを示す。
 
 <文献>
 Chris Okasaki, Purely Functional Data Structures
http://www.amazon.co.jp/Purely-Functional-Structures-Chris-Okasaki/dp/0521663504

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第300回(2012/4/11)

発表題目

懸賞パズルで稼ごう 組合せ問題のプログラム

発表者

前田 英次郎

資料

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内容

ペンシルパズルのブームである。書店にはパズルの月刊誌が数十種類も並んでい る。イラストロジック、お絵かきロジックなどと呼ばれる、解くと絵が出てくる ものが大人気だが、数字ばかりが出てくる数理パズル、数学パズルと称するもの もある。

ただし、数学の知識は足し算、引き算程度で間に合う。解いて答えを送ると賞品 (賞金)が当たることが人気のもとではあるが、やはり解く楽しさが大きいのだ ろう。パズル開発集団『ニコリ』を紹介したい。

欧米で『SUDOKU』というパズルが人気を博しているが、これはニコリが火を付け たものである。紙と鉛筆で解くのと、プログラムで解く場合の違いにも言及したい。

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第299回(2012/3/28)

発表題目

式即是型原理の匂い(2)

発表者

山崎 利治

資料

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内容

第298回の内容に同じ。

開催回・開催日

第298回(2012/3/13)

発表題目

式即是型原理の匂い(1)

発表者

山崎 利治

資料

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内容

最近、Coq や Agda が人気のようである。いずれも証明支援系+高階関数型プロ グラム系である。そこでは、「証明付プログラム開発法」が実施できるのでその 所以を紹介したい。本当は試用してみて報告したいが、準備が必要で,それが適 わない。
 
原理は、式即是型・証即是項
(formulae-as-types, proofs-as-terms Curry-Howard isomorphism)
 
である。
 

これは論理と計算を融合させるもので論理式が型付ラムダ項の型で表現でき、式 の証明が型の項つまりプログラムであるというものである。正しいプログラムの 作成のためには見逃せない原理である.古くからあった考えであるが今世紀なっ てから,実務に適用されるようになっているらしい。

そこで、この原理を紹介したい。今回:Coq や Agda,直観主義論理,自然演繹. 次回:ラムダ計算,単純型理論,式即是型原理 話の題に「匂い」を付けたのは咀 嚼できていないことを話すという意味である。

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第297回(2012/2/29)

発表題目

実践 Real World Haskell

発表者

宗像 清治

資料

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内容

以前のチュートリアルに続き、関数型言語 Haskell の命令型言語機能を取り上 げます。これで関数コードが実世界とインタフェースを取れるようになります。 具体的には次の機能です。
 
 1. IO モナド型のアクション関数で値を表示したり外界の値を取り込む
 2. アクション関数をモナド演算で逐次実行する
 

ただしモナドの理論的な面に触れることはできません。C言語でお馴染みの関数 のほかに Haskell ならではの遅延入力関数も登場します。
 
 <目次>  1. Haskell (Windows版) のインストール  2. 最大連続区間和問題  3. 素因数分解  4. クイックソートの性能評価  5. do ブロックの展開  6. アクションの定義 ファイルシステム (1)..(5)

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第296回(2012/2/15)

発表題目

確立微分方程式、及びPower Optionの価格計算(2)

発表者

黄 文峰

資料

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内容

第295回の内容に同じ。

開催回・開催日

第295回(2012/2/1)

発表題目

確立微分方程式、及びPower Optionの価格計算(1)

発表者

黄 文峰

資料

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内容

金融商品のリスクを低下させるか、リスクを覚悟して高い収益性を追及する手法 として考案されたのが金融デリバティブ(金融派生商品)である。

その元になる原資産について、将来売買を行なうことをあらかじめ約束する取引 (先物取引)や将来売買する権利をあらかじめ売買する取引(オプション取引) などがある。オプション満期 における原資産価格S、オプション価格をKとしたと き、ペイオフ(清算損益)を[S−K]のN乗のような期待値とするのがパワーオプシ ョンである。バリアのある場合も考慮。バリアオプションとは、原資産価格はバ リア値にタッチすると、契約が無効(ノックアウト)または有効(ノックイン) になる金融派生商品である。

オプション価格を決めるには、原資産の価格変動の振る舞いを予測することが必 要である。オプション価格では、原資産価格の動きに、ウィーナー過程という確 率過程(特に幾何ブラウン運動が多い)を仮定している。

ウィーナー過程の数学表現は確率微分方程式である。確率微分方程式は一般の微 分方程式と異なり、伊藤の補題がその計算ルールを収めている。

金融デリバティブの価格決定はブラック・ショールズモデルが有名である。モデ ルは伊藤の補題に基づき、金融商品の価格変動は物理学の熱伝導方程式で解答を 求めることができ、ショールズは1997年にノーベル経済学賞受賞。パワーオプシ ョンの価格計算は、これらの原理から出発し、確率密度分布より原資産のべき乗 期待値を計算して算出する。バリアオプションの場合、確率密度分布の特定が必 要。計算実例を示す。

計算結果の正しさは検証必要。もっともシンプルな方法は乱数によるシミュレー ションである(モンテカルロ法)。また、微分方程式において、差分法で解答を 求めることもできる。

以上の流れで、銀行、証券会社、他の金融機関がどのように金融商品およびその 派生商品の価格決定、リスク評価をしているか、その概略は分かるではないかと 思われる。

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第294回(2012/1/18)

発表題目

Maxwellの方程式:相対論的変容(1)

発表者

柳生 孝昭

資料

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内容

19世紀末、電磁気学は解決困難な問題に直面し、深刻な危機に陥っていた。即ち Maxwell の方程式と Galilei 変換、従って Newton 力学との矛盾、電磁現象が 波動であり、その媒質(Ether)の遍在を措定するとして、それは何か、通常の 物質の運動に伴って動くのか否か、然りとすれば、相対性原理は否定される(光 速は可変である)のか、等々の疑問である。

本稿は先ず、この状況の展開と結末、特に Maxwell の方程式に内在する理論的 困難の分析、Ether 説の破綻と光速不変性の発見について記す。

主部は、逐次加えられる数学的・物理的仮定によって明確に区別される4段階を 追って述べる:

第1は光速不変性と、それのみから導かれる驚くべき結果、同時性の相対化、運 動体の長さの収縮、時間の遅れ、双子の逆説等

次に時空の(Lorentz)変換が、線型性と空間の等方性という単純・自然な条件 から、一意的に定まること、及びそれに基づく相対論的運動学の確立

第3は時空4元 vector としての力の満たすべき第一原理(運動の法則)の要請、 運動量と energy の統一、それらの保存則の応力 tensor による定式化等を骨子 とする Newton 力学の相対論化

最後は Lorentz 力の4元力化、電磁 tensor の導入、電磁 potential と電荷・ 電流 vector の共変性による Maxwell の方程式の再定式化、及び d'Alembert 操作子の共変性を併せて確立される Lorentz 変換不変性、更に諸物理量の変換 則と幾つかの重要な帰結、である。

記述の完結性のために、計算は詳細(細字部分)に至るまで全て示したが、例会 ではこれらは省略し、概念の位階と相互の関係、理論の論理的構造、その成立過 程に於ける物理的洞察(飛躍)と演繹の別、等を焦点に置く。