わかみず会

わかみず会

2011年(平成23年)
開催回・開催日

第293回(2011/12/14)

発表題目

文献紹介 G.Mエーデルマン著「脳から心へ 心の進化の生物学」金子隆芳訳/新潮社/1995

発表者

手島 歩三

資料

内容

古い本ですが、脳科学分野でノーベル賞を受賞したエーデルマンの本を紹介を試 みます。

私はまだ十分には理解しておらず、わかみず会で説明するのは恥ずかしい状態で すが、データモデリングの参考になるのではないかと思い、敢えて話題を提供し ます。

従来、脳の仕組みがコンピュータと同様であると考えて中山正和氏の「ヒューマ ンブレイン・コンピュータ」とか、認知科学の議論が行われてきました。エーデ ルマンは脳の仕組みは自然淘汰によって成り立っており、コンピュータとは異質 であると主張します。

ニューロンやシナプスの話はよく知られていますが、受容器、4次元地図、神経 ネットワーク、知覚カテゴリ−化、原意識、概念、記憶、高次の意識、思考、推 論などについて生物学の視点から、私にとって意外な事柄を述べています。

そのような視点から見ると従来哲学として語られてきた多くの主義が方向違いで あるのだそうです。この本では随所に哲学批判が出てきて、カントやヘーゲルが 誤りであると指摘されると、不勉強な私はお手上げ状態です。

しかし、視野を広げて生物学の視点からソフトウエア工学あるいは情報システム 工学を見直すのも悪くはないのかもしれません。

開催回・開催日

第292回(2011/11/30)

発表題目

「情報処理技術者の教育育成」に関する私見

発表者

朝倉 文敏

資料

内容

現在のところ、30日には以下のような内容のお話をさせていただきたいと考えて います。

先ず、経産省の管轄下で、独立法人情報処理推進機構(IPA)のIT人材育成につ いての問題意識や考え方、その考え方のもとに実施されている情報処理技術者試 験の概要をごく簡単に紹介します。IPAは、昭和44年に始めた情報処理技術者試 験制度の何回目かの改訂を行うと同時に、試験のバックボーンとしての“IT技術 者のスキル標準”なるものを作成しました。ユーザ側とベンダー側に別れていた ものを一本化したこともあって試験制度がすっきりしたと言っています。

また、情報技術の教育を実施している全国の大学や専門学校などの規模を確認し ます。詳細は調べきれませんでしたが、大学の情報処理技術教育の規模(学生の 定員)は大幅に増加しています。それでも足りないのでしょう、不要になれば直 ちに減る専門学校の規模も減りそうにありません。

本論として、私が今まで接してきたシステム要員や情報処理専攻の大学生、専門 学校の学生などに対して感じている問題点を述べさせていただきたいと思います。

ソフトウェア技術者というと比較的明確なのですが、“情報処理技術者”と言っ たときにそのアイデンティティの不明確さが問題なのではないかと感じています。 どのように明確にするのが良いかについての意見はまとまっていません。いわゆ る“学者”の方々に期待すべき課題ではないかと思っています。

アイデンティティが明確になったら変るのかもしれませんが、今の情報処理技術 者には、次のような知識・能力が不足していると考えています。

 
 ・ アセンブラ言語によるプログラミングとアセンブラプログラムの翻訳
 ・ ブレインストーミング、KJ法
 ・ 統計的手法の実践的知識
 ・ 在庫管理モデル、待ち行列モデル、軽量経済orシステムダイナミックスモ
  デルの簡易(コンピュータを使わない)シミュレーション
 
などです。このほとんどは、昔のシステム要員には必須だったように思います。 なぜ勉強しなくなったのでしょうか?時間が許せば、BIT(Burroughs Instructor Training)の考え方に触れてみたいと思います。もと日本バローズでは新入社員 教育の一環として扱っていたそうですが、BITでは、成人教育とは何か、学校教 育とどこが異なるのか、成人教育の実施に当たっての具体的な方策などを述べて います。

開催回・開催日

第291回(2011/11/16)

発表題目

組合せゲーム理論入門(2)

発表者

川辺 治之

資料

PDF形式でみる

内容

第290回の内容に同じ。

開催回・開催日

第290回(2011/11/2)

発表題目

組合せゲーム理論入門(1)

発表者

川辺 治之

資料

PDF形式でみる

内容

組合せゲームとは,偶然に左右される要素を含まず,二人の対局者にはゲームに 関する必要な情報がすべて与えられているようなゲームです。

組合せゲームに対する一般理論は,コンウェイらによって確立されました。コン ウェイによる組合せゲームの扱いは,ゲームの局面をいくつかの部分ゲームの(直) 和として表現し,それぞれの局面に割り当てた値を求めるというものです。この値 によって,どちらの競技者に必勝戦略があるか,また,どの手を打てば勝てるかを 判定することができます。

コンウェイらの理論については、Winning WaysおよびOn Numbers and Gamesの2冊が 原典となりますが、その分野を開拓した新しい概念と手法についての説明は整理され ていない部分もあり、初学者には必ずしも読みやすいとはいえません。

Lessons in Plays(邦題:組合せゲーム理論入門)は、組合せゲーム理論の基本的な 概念から発展的な話題までよく整理されており、Winning Waysへのよい導入編とな っています。

開催回・開催日

第289回(2011/10/19)

発表題目

ガイガーカウンタを作って見て

発表者

若鳥 陸夫

資料

内容

この度機会があって、古典的なガイガーカウンタ(玩具水準)を作ってみた。こ れは、放射線量を測る道具だが、レントゲン、ベクレル、シーベルトなどの単位 を概観しながら、放射線の数だけしか測れないガイガーカウンタの原理的な宿命 を解説する。

しかし、玩具といっても桁違いに放射線量が多い空間は、おおよそ判断でき、ガ ーガー鳴り出したら即刻、逃亡する警戒機の役割程度なら使える。

開催回・開催日

第288回(2011/10/5)

発表題目

Science Wars その後

発表者

峰尾 欽二

資料

PDF形式でみる

内容

題目が暗示する「ソーカル事件」後を解説するのではなく、以下の文献を紹介す ることで「ソーカル事件」を理解するためのガイドをなすことである。

「ソーカル事件」は、科学界という狭い世界の中ではあるが、激烈な戦争ともいう べき様相を呈したが、その争いは今に始まったことではなく、30,40年前から科 学に新しい潮流が生まれて以来(古くは、ギリシャの時代から)あった戦いとし て解説している。

本書は旗色鮮明な入門書であり、どんな戦場があるのか何が戦われているのかを 正統派科学者の立場から解説したものである。
 
 文献:
「なぜ科学を語ってすれ違うのか −ソーカル事件を越えて
 − AN OPINIONATED GUIDE TO THE WARS」
 (ジェームス・ロバート・ブラウン、青木訳、みすず書房、2010)

開催回・開催日

第287回(2011/9/21)

発表題目

Social 事件再訪

発表者

柳生 孝昭

資料

PDF形式でみる(資料1) PDF形式でみる(資料2)

内容

19世紀末から20世紀初頭に掛けて、論理学、数学、及び物理学は、不可解ないし 解決困難な事態に直面し、深刻な危機に陥ったが、更なる厳密化と新たな第一原 理の発見に基づいてそれを克服し、現代的な規範を確立すると共に、自然と人間 知性の認識の変革を導いた。

科学哲学は、この過程を追うように成立し、展開して行く。即ち論理分析と経験 (実証)論を柱とする科学的世界観(論理実証主義)が宣明され(1929)、様々な 変遷を経て、一時は「正統的」(‘Received View’)と見なされる程に大きな 影響を及ぼしたが、やがて多くの欠陥が露となり、1950年代以降、強い批判を受 けて衰微する。

特に、歴史的立場に拠る T.S. Kuhn :‘The Structure of Scientific Revolutions’ (1962)のそれは決定的で、その主張の核心である‘paradigm’の概念が科学史・ 科学哲学の域を越えて人口に膾炙するに至ったのは周知である。しかし Kuhn 著は それ自身、当初から厳しい批判の的となり、一つの paradigm を与えたとは言い 難い。科学哲学ないし科学論は以後、経験論批判(W.V.O. Quine)、意味から指示 への重点の移転(S.A. Kripke)、構成的経験論(B.C. van Fraassen)、自然主義 的傾向、社会学的考察(STS)等々、分裂と多様化の時代に入った。その果ては、 Kuhn に源を発するにせよ逸脱の極と言うべき、科学には客観的真理性は無く、 全ては社会的構成の結果であり、相対的な存在に過ぎないとする、一部の社会・ 人文学者に支持されている主張と、それに反発する科学者の間の、分裂どころか 戦闘の事態、である。

その正に「戦争」と命名された事件が、1996年に勃発した。 科学者による挑戦 的な反科学批判の書(P.R. Gross・N. Levitt :‘Higher Superstition’, 1994) を受けて刊行された、人文系学術誌 Social Text の特集‘Science Wars’に、 物理学者A.D. Sokal の、高度の科学専門用語と華麗な人文的修辞に溢れた科学 批判の論文‘Transgressing the Boundaries : Toward a Transformative Hermeneutics of Quantum Gravity’が掲載されたが、直後に著者自身によって、 それが無意味と偽りに満ちた、欺瞞・parady であることが暴露され、科学 journalism を始め、著名な科学者、人文学者、米国物理学会、更には一般紙まで をも巻き込む大騒動が持ち上がったのである。

Sokalの意図は、人文系の科学批判、特に相対主義・社会構成論的言説が如何に 出鱈目なものであるかを、流行の論調を真似た出鱈目論文が、有力誌の査読を通 ることによって、示すものであった。

本稿は‘Science Wars’または‘Sokal Affair’と呼ばれるこの事件の詳細な解 説(文献[12])の要約を中心に、その前史と余波について述べ、所見を加える。 尚これは 99. 7.25 日付「わかみず会」資料の拡充・改訂である。

開催回・開催日

第286回(2011/9/7)

発表題目

困った専門家たち

発表者

前田 英次郎

資料

PDF形式でみる

内容

以前、宗像さんの Haskell の話があったとき、予習として Graham Hutton “プログラミング Haskell” を少し読んだところ、
 
 qsort[] = []
 qsort[x:xs] = qsort smaller ++ [x] ++ qsort larger
  where
   smaller = [a|a<-xs, a<=x]
   larger = [b|b<-xs, b> x]
 
に出会いました。Haskell で書けば、クイックソートはこんなにきれいに書ける よ、と言いたいのでしょうが、これは最悪のプログラムです。

最速のソートはクイックソートだと聞いて、これを書いたのでしょうが、不勉強 の極み、これでは速くもないし、hang up の危険すらあります。自分の狭い範囲 の知識だけで、すべてが分かるつもりで、毒を流している専門家に文句を言いた くなりました。話題はとりあえず4つ用意しました。

開催回・開催日

第285回(2011/7/20)

発表題目

なぜ、自分(やつがれ)は、和文で、躓くのか?

発表者

大野 q郎

資料

PDF形式でみる

内容

「和文とはなにか」が気になって3年になります。ここ1年ほどで、駄文がまた 少し貯まりました。素人の和文論です。とりあえず、私見4つを説明いたします。
 
 (1)詞と辞そして場
  和文は、詞と辞そして場で解釈する必要があることを、時枝文法・佐久間
  文法・三上文法を支えに、例文で示します。なお、時枝文法はどちらかという
  と反例になります。
 
 (2)和文の語・句・文型・構文
  幼児の言語習得過程をもとに、和文の語・句・文型・構文を解釈します。
 
 (3)段落の陳述度分析
  身に覚えのある観念奔逸文、思考分裂文、迂遠思考文、概念乱れ文を
  例示します。接続詞相当句を再考し、三上文法の陳述度の考えを段落
  に拡張して、段落分析を試みます。
 
 (4)悪意ある意図・意図隠蔽の語用論
  コンテクストを取り込もうとする語用論の関連性理論は、詞と辞また
  場という視点が薄く、実際の発話・陳述分析には届かないことがある
  ことを、「福島原発の発話」を例にとって示します。そして、悪意あ
  る意図や意図隠蔽の場での語用論を試みます。
 
毎日使っている母語の話です。まあ、だいたいどの話でも気楽に突っ込みや冷や
かしを入れられますので、ぜひご批判を賜りたく。

開催回・開催日

第284回(2011/7/6)

発表題目

分類と系統・・・三中信宏著「生物系統学」

発表者

小島 俊雄

資料

PDF形式でみる

内容

生物学における「分類」と「系統」について、三中信宏著「生物系統学」(199 7年 東京大学出版会発行)の概要をご紹介します。

生物学ではリンネの分類体系、ダーウィンの進化論、分子レベル理論等に関係し て、系統学や分岐学等が発展し、ソフトウェアの基盤整備も進んでいます。

製造現場の加工事例データを基礎にした加工技能のデジタル化に興味をもってい ます。加工技術情報のモデリングに何かヒントが得られると考え、この「生物系 統学」の勉強を始めました。
 
話題提供の順序は、
   ・「由来」の種類と表現 祖先子孫関係と集合包含関係
 ・分岐学 分岐図、系統樹の表現と構築
 ・分岐学による系統推定の方法
 ・今後の学習の方向
です。誤解や不十分な理解が多いと思います。皆様からのご教授、ご批判をよろ しくお願いします。
 
なお、三中氏が「思考本」と呼んでいる、
 
 「系統樹思考の世界-すべてはツリーとともに」(講談社現代新書1849,2006)
 「分類思考の世界-なぜヒトは万物を「種」に分けるのか」(講談社現代新書2014,2009)
 
も参考にしています。

開催回・開催日

第283回(2011/6/22)

発表題目

小惑星探査衛星はやぶさ −その成功を支えた技術−

発表者

長島 毅

資料

PDF形式でみる

内容

ちょうど一年前の6月13日に華やかな地球帰還ショーを演じ、一挙に有名となり、 ついには映画化まで企画されるまでになった小惑星探査機はやぶさですが、打上 当初は、ごく一部の関係者と宇宙天体マニア以外には存在すら知られていなかっ たと思います。私も大学では、航空宇宙工学を専攻していたにも拘らず、長い人 生の間にすっかり門外漢になってしまっており、再突入ショーをテレビのニュー スで観て初めてこんなプロジェクトがあったことを認識したものです。

その後、偶然にはやぶさのイオンエンジンの開発責任者であったJAXAの国中教授 の寄稿を学士会の会報で読む機会があり、このプロジェクト実施の過程で遭遇し た以下のような課題挑戦やトラブル解決のプロセスが大変興味深く、面白そうな ことに気付きました。
 
 ・イオンロケットの実プロジェクト適用
 ・地球スイングバイによる加速軌道変更
 ・小惑星イトカワへのナビゲーションと軟着陸・サンプル採取
 ・故障による行方不明→再発見と機能回復
 ・クロス回路による故障エンジンの再構成・点火
 
それをきっかけに情報の足らない部分を資料検索で補足して理解できたことを、 探査機の打ち上げから小惑星イトカワへの着陸・離陸、地球帰還までのプロジェ クトの進行順序に従いながら、皆様にご紹介してみようと思っております。動画 や写真、図表を主体として、判り易くて楽しいお話にしたいと思いますので、ご 興味のある皆様に沢山ご参加頂きたいと思います。

開催回・開催日

第282回(2011/6/8)

発表題目

S.A. Kripke : Naming and Necessity を読む

発表者

柳生 孝昭

資料

PDF形式でみる

内容

本稿は様相論理、特にその意味論の開拓者として名高い Saul A. Kripke(1940〜) による、1970年1月、Princeton 大学に於ける連続講義の記録‘Naming and Necessity’, Harvard University Press,1972の要約と批判である。

同書は固有名と Frege‐Russell 流の確定記述の、対象を指し示す働きの相異、 Kant 以来の真理の類別、概念の同一性や心身問題等を題材として、綿密な哲学 的考察を展開する。 小型版164頁の小冊子であるが、講義録という成り立ちも有 って、繰り返し、脇道への逸脱が頻出、加えて詳細を極める(しかも老人泣かせ の小字体の)脚注も多く、読み手を要約への渇望に駆り立てる。 他方、機知に 富む譬えや才気溢れる修辞も捨て難く、それは容易な作業ではない。

そこで本稿は、主題=大項目は初出の順とするが、細部はそれには捉われず、論 旨を見易くすべく編集し、また要約は日本語、引用は原文(但し煩瑣な句・節を 省き、省略箇所は ??? に置き換える、あるいは ? ? 付きの言葉で補ったもの) で記す、等の工夫を試みた。

開催回・開催日

第281回(2011/5/25)

発表題目

システム開発への形式手法の適用による品質の確保

発表者

小林 允

資料

内容

2010年9月13日に行われた「ソフトウェア技術者協会フォーラム」でフェリカネ ットワークス社の栗田太郎氏が発表されたものの紹介です。フェリカICチップの 組み込みソフトウェアの開発(2004年〜2010年)にVDMを使った事例です。
 
 <アジェンダ>
  ・形式仕様記述手法の技術導入
  −仕様記述を学んだ過程
  ・仕様記述と検証の理想と現実
            −初めての仕様記述とその課題
  ・開発現場における課題への取り組み
            −仕様の読みやすさと仕様の動作の両立
            −形式仕様を用いたプログラムの仕様準拠テスト
  ・まとめ

開催回・開催日

第280回(2011/5/11)

発表題目

矛盾許容型論理と様相論理(2)

発表者

柳生 孝昭

資料

PDF形式でみる(資料1) PDF形式でみる(資料2)

内容

第274回の内容に同じ。

開催回・開催日

第279回(2011/4/20)

発表題目

「バナッハ・タルスキーのパラドックス」の紹介−2

発表者

染谷 誠

資料

内容

発表者希望により省略。

開催回・開催日

第278回(2011/4/6)

発表題目

「バナッハ・タルスキーのパラドックス」の紹介−1

発表者

染谷 誠

資料

内容

発表者希望により省略。

開催回・開催日

第276回(2011/3/9)

発表題目

カントの「純粋理性批判」を読む

発表者

村上 信夫

資料

内容

幸運にも、近寄りがたかったカント哲学の入門講座を受講する機会があり、哲学 者カントの著作、また人間味あふれる一面を知ることになりました。

この分野についは全くの初心者ですが、カントの主著「純粋理性批判」に挑戦し、 一体全体何が書かれているのか自分なりの理解を得たいと思っています。遅々と して読解が進まない状況ですが、これまでの学習の概要を紹介するとともに、カ ント哲学の主要な思想について議論できる機会になればと思っています。わかみ ず会にふさわしいテーマではありませんが人間(理性)と計算機のかかわりを考 える機会になれば幸いです。
 
 参考資料:
 カント「純粋理性批判」の現代語訳の一部が下記のウエブサイトで読むことができます。
 http://www.geocities.jp/hgonzaemon/pure-critique-preface2.html

開催回・開催日

第275回(2011/2/23)

発表題目

やさしいHaskell入門

発表者

宗像 清治

資料

PDF形式でみる

内容

同じチュートリアルがインターネット上にあり、その一部を報告します。純関数 型言語Haskellは、1987年に生れて以来、長足の進化をとげました。このチュー トリアルでは Haskell 98 を扱います。

Haskellは、強く型付けされたプログラミング言語です。強い型付けのない言語 (Perl、Tcl、Scheme)の経験者には少し骨が折れ、Java、C、Modula、ML に明る い人でも自明ではないでしょう。Haskellの型システムがより強力だからです。

できれば、山崎さんの宿題「最大セグメント和」のプログラムを対話型処理系 Hugsで例示したいと思います。

開催回・開催日

第274回(2011/2/9)

発表題目

矛盾許容型論理と様相理論(1)

発表者

柳生 孝昭

資料

PDF形式でみる(資料1) PDF形式でみる(資料2)

内容

直観主義及び古典論理に於いては、矛盾を含む公理系からは、任意の論理式が導 かれる。 しかし或る論理式 A について矛盾 A ∧¬A が生じるからと言って、A と無関係な B が真になるというのは、腑に落ちない。そこで弱い否定操作 N を 導入し、A が「古典的に振舞う(Behaving Classically)」条件を満たさない限 り、このような導出を許さない「矛盾許容型論理(PL 、Paraconsistent Logic)」 を構築する。

通常の否定 ¬ は、改めて N に基いて定義される。 逆に N を可能的否定 ◇ ¬ と見なすと、PL は様相論理と同等であることが示される。

本講演は文献 [0]、[1] の要約であり、古典及び様相論理については、[2] 〜 [4] を参照・敷衍した。

 
 <文献>
 [0] Waragai, T. / Shidori, T.
   ‘A System of Paraconsistent Logic That Has the Notion of
   ‘Behaving Classically’in terms of the Law od Double Negation
   and Its Relation to S5 ’,3rd World Congress on Paraconsisteny,
   2003,Toulouse.
 
 [1] 藁谷敏晴/大森仁 :「古典的否定を考慮に入れた矛盾許容型論理について」
   科学基礎論研究 第110号,2008 Vol.36 No.1
 [2] 前原昭二 :「数理論理学」培風館,1974. 8
 [3] 長尾真/淵一博 :「論理と意味」第6章「様相と内包」,岩波書店,1982.11
 [4] 佐々木克己/岡本太郎:「正規な様相論理の完全性」,南山大学,2006
 [5] 柳生孝昭:「知識分析に現れる「奇妙な」論理と、その古典論理への還元」
   日本ユニシス技報84,2005.2

開催回・開催日

第273回(2011/1/26)

発表題目

プログラミング技術(4)「大きなプログラムの作成」(状態系と余代数)

発表者

山崎 利治

資料

PDF形式でみる

内容

前回は羊頭狗肉の題「大きなプログラムの作成」で抽象データ型の代数仕様をお 話しました。今回はその続きで「状態系と余代数」についてお話します。

状態系とは並行プロセス模型の札付推移系が代表例で、システムは一定の操作を 持ち、操作を通して環境と相互作用を行い観測不能な内部状態による挙動を示し 一般に停止しないものです。その例に、暗箱、無限列、有限オートマトン、札付 推移系,Kripke枠,OOPのオブジェクトなどがあり,これらをまとめて余代数と みることができます。

そこでの鍵になる概念に双模倣と余帰納法があり、その説明が目的です。オブジ ェクト指向のオブジェクトについて理解を深めるのに役立てば嬉しく思います。

開催回・開催日

第272回(2011/1/12)

発表題目

プログラミング技術(3)

発表者

山崎 利治

資料

PDF形式でみる

内容

去年11月に「小さなプログラムの作成」と題して2回に亘って、正しいプログラ ムとはを議論しました.その枠組みとしてHoare論理を紹介しました。今回は 「大きなプログラムの作成」と題してやはり2回お話します.プログラムの作成面 からはモジュールとその間の協調を問題にすることになりますが、主題をつぎの 2点に絞ります。
 
 1.抽象データ型の仕様記述(今回)
 2.状態系の仕様記述(次回)
 
実現は無視し、しかも、小さなモジュールの記述法のあれこれを紹介するに過ぎ ません。抽象データ型は構造的プログラミングが生んだ最も重要な考えで、オブ ジェクト指向プログラミング思想の基本でもあります.そこでいうオブジェクト は「抽象データ型」と「状態系」そのものです。換言すれば、抽象データ型は代 数、状態系は余代数です。その特徴をまとめてみたいと思います。まとめは次回 にして、今回の計画は次のようです。
 
 棚の仕様記述
 抽象データ型の代数提示
 仕様の構造化のために
 
「大きなプログラムの作成」の題は羊頭狗肉ですが、1970年代に始まった抽象デ ータ型の回顧と今も続いている状態系の理論に馴染んでくださることを念頭にお 話します。