わかみず会

わかみず会

2010年(平成22年)
開催回・開催日

第271回(2010/12/8)

発表題目

中世哲学の発見−『天使はなぜ堕落するのか−中世哲学の興亡』(八木尾雄二/春秋社/2009)の紹介

発表者

峰尾 欽二

資料

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内容

前回紹介した『磁力と重力の発見』(山本義隆)は、「自然科学といえば大抵、 古代ギリシャ・ローマから始めて、その後、中世とルネッサンスをほとんどすっ 飛ばして、いきなり近代を論ずるのが常であるが、同書では、中世・ルネッサン スと近代科学との連続性と断続性をたんねんにたどったものでした。」。

今回紹介する書は、分野が違え、まったく同じことが行われている。哲学通史の 中では中世はまったく無視され、ギリシャ・ローマの哲学から近代哲学が論じら れるのが普通である。本書では、中世哲学を丹念に逍遙し、キリスト教神学から 近代哲学の芽が出てきたことを論証している。

なお、本報告は、「近代科学と宗教」の傍流として位置づけられるものです。

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第270回(2010/11/24)

発表題目

プログラミング技術(2) Hoareの論理と洗練計算

発表者

山崎 利治

資料

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内容

階乗計算プログラムを例としてプログラムの検証を実際に行ってみる。それは Hoare論理の早分かりである。

つぎに、やはり簡単なプログラムをあるやり方で作ってみる。これは、Dijkstra の蓋付命令によって段階的にプログラムを作成する方法である。

これら二つの話題は1980年代のプログラム作成方法の最も著名であったもので、 いまも振り返って楽しめるものと思います。

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第269回(2010/11/10)

発表題目

プログラミング技術(1)

発表者

山崎 利治

資料

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内容

これは「プログラマとして体得していて欲しい技術」についての元プログラマの 個人的な意見である。

プログラマとは、公共の安寧に影響するソフトウエアを開発する職業プログラマ のこと。職業とはプログラマとして給料を得ているというほどの意味である。  
4回にわけてお話する。  
予定(第I部)
 I.1 小さなプログラムの作成(1) (11/10)
      初期のプログラム作成論
      構造的プログラミング、段階的洗練
      情報隠蔽、プログラム検証(一階論理)
 
 I.2 小さなプログラムの作成(2) (11/24)
      プログラム検証(Hoare論理),洗練計算
 
予定(第II部)
 II.1 大きなプログラムの作成(1) (1/12)
      モジュールとしての抽象データ型
 
 II.2 大きなプログラムの作成(2) (1/24)
      モジュールとしての状態系

11月10日は1970年代のプログラム作成論を回想する。鍵語は構造的プログラミン グ、段階的洗練、情報隠蔽、プログラム検証である。具体的なプログラム正当性 検証は次回に廻して、今回はその準備として一階論理を一瞥する。

老人の懐旧談ではありますが、プログラミングの難しさと楽しさを解明してきた 先達の努力を若い方たちも知っていただければ嬉しく思います。

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第268回(2010/10/27)

発表題目

GPUを利用したレコメンデーションシステム

発表者

加藤 公一

資料

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内容

GPU(Graphic Processor Unit)は元来グラフィック描画に特化したプロセッサで あり、その発展は主にコンピュータゲームの複雑化・リアル化に依存してきた。 そのため以前は、ハイスペックなGPUは(とてもマニアックな)ゲームやCADなど の特定の分野にしか使われていなかった。ところが近年、そのGPUを本来の目的 以外の一般の計算に使おうという流れがでて来ており、その流れはGPGPU(General Purpose GPU)と呼ばれている。ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)と 呼ばれる特定の分野では、GPGPUはアプリケーションの高速化に大きく貢献している。

従来GPGPUを適用したHPCのアプリケーションは、流体力学、分子動力学、天文学、 気象学といったようないわゆるサイエンスの分野であり、我々のビジネスとは遠 いところにあった。その中で加藤ら[1,2]は、GPGPUはレコメンデーションシステ ム(自動推薦システム)にも応用できることを示し、CPUシングルコアの30倍以 上の計算速度を達成した。レコメンデーションシステムとは、アマゾンが「これ を買った人はこれも買っています」と表示するような仕組みに代表されるもので、 ウェブ上の大規模販売店に標準的に使われるマーケティングツールである。

今回は、特に文献[1]で紹介されたアルゴリズムを紹介する。GPUの構造の特殊性 によるアルゴリズム設計の難しさなどを説明する。解説論文としては文献[3]を 参照されたい。

参考文献:
[1] K.Kato and T.Hosino, Solving k-Nearest NeighborProblem on Multiple Graphics Processors, In Proc. The 10th IEEE/ACM International Symposium on Cluster, Cloud, and Grid Computing (CCGrid2010), Melbourne, Australia, pp 769-773, 2010.
[2] K.Kato and T.Hosino, Singular Value Decomposition for Collaborative Filtering on a GPU, IOP Conference Series: Materials Science and Engineering 10 012017, 2010. [3] 加藤公一「グラフィックスプロセッサによるレコメンデーションシステムの アルゴリズム」日本ユニシス技報、Vol.20, No.1, 2010 (http://www.unisys.co.jp/tec_info/tr104/104abs.htm#10405)

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第267回(2010/10/13)

発表題目

販店向けのソリューション「PriceTech(価格最適化)」の紹介

発表者

森本 晧夫

資料

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内容

日本ユニシスの利用技術部では、M君を中心に長年POSデータの解析を手がけてき ています。数年前から、その成果の一つとして量販店向けの価格最適化ソフトウ ェア(PriceTech)を提供してきました。

今回は、PriceTech の機能を紹介しながら、特売計画と価格の最適化についてお 話します。

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第266回(2010/8/29)

発表題目

ERPパッケージの構造改革−ソフトウェア再利用技術の見直し−

発表者

手島 歩三

資料

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内容

ソフトウエアは再利用できるものである。しかし、日本では多くの企業が既存ソ フトウエアを捨て「新規開発」するアプローチを採用してきた。その理由は、度 重なる急ぎの変更・拡張によりソフトウエア構造が悪化し、肥大と品質低下を招 いて、ソフトウエア保守の費用および作業量、作業期間が増加したためである。

変わり続けるビジネス組織を支えるビジネス・アプリケーション・ソフトウエア では変更・拡張・先祖帰り(縮小)が容易にできることが要件である。

1990年代にIT活用の必要性に気づいた多くの企業が市販のソフトウエア・パッケ ージを導入し、少数の企業を除いて「死屍累々」と称されるほどの手痛い失敗に 陥った。導入後数年後に競争力を失い、市場から退出した企業が少なくない。

ERPパッケージの売り文句は「ソフトウエア保守はパッケージ業者が責任を持っ て行う」ことであった。導入に当たって「カスタマイズしない」「パッケージに 合わせて業務を改革する」ことが最善のアプローチとされ、ビジネス様式に合わ ない情報システムを構築したことが失敗の原因である。

その背後にはERPパッケージはカスタマイズが困難なソフトウエア構造になって いる問題が隠れている。パラメータを30%以上変更するようであれば、新たに作 り直すほうがよいと、ERPコンサルタントは主張する。パッケージ内部のモジュ ール間でパラメータの体系に食い違いがあり、組合せによっては動かなくなる恐 れがある。

カスタマイズはソフトウエアの変更・拡張・縮小の一環である。パラメータ方式 では多様化し、しかも進化する変更要求に対処することは不可能である。ソフト ウエアの再利用技術を見直し、変更・拡張・縮小が容易にできるビジネス・アプ リケーションを開発する技術を用意する必要がある。

NPO法人技術データ管理支援協会は2003年にソフトウエア工学研究会を発足し、 変更・拡張・縮小・カスタマイズが容易な製造ビジネス・アプリケーション構造 について模索してきた。2006年から某社の協力を得て新しい構造の業務用ソフト ウエアを開発し、実務で実証実験してきた。その内容と状況を報告する。

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第265回(2010/9/15)

発表題目

群論で解き明かすルービックキューブの数理−2

発表者

川辺 治之

資料

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内容

「David Joiner著Adventures in Group Theory: Rubik's Cube,Merlin's Machine, and Other Mathematical Toys第2版」の邦訳が今年秋に発刊されることになりました。

巷に多く出版されているルービックキューブ本が、いくつかの手順を覚えるこ とによりいかに素早く6面を揃えられるかに主眼をおいているの対して、本書は 置換パズル(ルービックキューブや15パズルに代表される、あるパズルのクラス) を題材にした群論の入門書です。

ただし、一般の群論の教科書に比べて、定理を順に証明していくだけではなく、 置換パズルの数学的構造を調べるのに群論の概念と技法をどのように使うかに 重点を置きます。

今回は、前回に引き続き、群論の考え方に基づくルービックキューブの解法で ある部分群法の紹介、揃えるのにもっとも多くの手数を必要とする配置、およ び群論を用いた15パズルの解法について紹介します。

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第264回(2010/9/1)

発表題目

群論で解き明かすルービックキューブの数理−1

発表者

川辺 治之

資料

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内容

David Joiner著Adventures in Group Theory: Rubik's Cube, Merlin's Machine, and Other Mathematical Toys第2版の邦訳が今年秋に発刊されることになりました。

巷に多く出版されているルービックキューブ本がいくつかの手順を覚えるこ とによりいかに素早く6面を揃えられるかに主眼をおいているの対して、本書は 置換パズル(ルービックキューブや15パズルに代表される、あるパズルのクラス) を題材にした群論の入門書です。

ただし、一般の群論の教科書に比べて、定理を順に証明していくだけではなく、 置換パズルの数学的構造を調べるのに群論の概念と技法をどのように使うかに 重点を置きます。

今回と次回の2回に渡って、本書の内容に沿って、ルービックキューブや15パズ ルなどの置換パズルの数学的構造、およびそこに現れる特徴的な群について紹介 します。

またルービックキューブに端を発する多面体パズルの構造についても、いくつか の実物を交えて紹介します。

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第263回(2010/7/21)

発表題目

和文脈とはなにか?

発表者

大野 q郎

資料

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内容

突然ですが、「三文小説に入れ込むのはなぜか?」が発作的に気になって、ここ 1年半ほどで、駄文がそこそこ溜りました。素人の和文論です。「わかみず会」 で発表の機会をいただいたので、OHP50枚ほどに一部を纏めました。添付しまし たのでご笑覧下さい。

中身は、若手のプログラマを読者に想定して、順不同で次の通りです。  
 (1) 母語文法のさわり紹介
 (2) 三上文法「超」入門
 (3) メンタル・スペース論「超」入門
 

「超」入門という言い回しは、拙速の素描だからです。私じしんの言い分はでき るだけ避けましたが、素人なりに自説をひけらかした物言いもあります。みなさ んのご意見を伺って、再考三考の余地があると思っております。

毎日使っている母語の話です。まあ、だいたいどの話にも気楽に突っ込みや冷や かしを入れられるはずなので、ご興味があればぜひ意見を賜りたく。なお、元の 素稿は100ページほどになります。

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第262回(2010/7/7)

発表題目

創造的思考と試行錯誤

発表者

野口 尚孝

資料

内容

設計論が台頭してから、まだ半世紀にもなっていません。この比較的新しく登場 した領域に関して、現在でもさまざまな議論が展開されています。中でも、創造 的な設計あるいはクリエイティブなデザインとは何か、それはどのような思考に よって生み出されるのか、という問題は多くの議論の的となっています。

大学で工業デザインを専攻した私が、1967年に修士論文において、C. Alexander のデザイン方法論についての研究を行って以来、ずっと関心を持ち続けてきた設 計方法論問題に関して、1987年頃から一つの転機がやってきました。それは吉川 弘之先生との出会いです。東大で行われていた設計論とCADの研究会に顔を出す ようになって、そこで初めて、吉川先生と柳生さんの間で闘わされる難解ながら ワクワクするような議論を目の当たりにし、「こういう世界があるのか!」と、 目からウロコが落ちる思いでした。それ以来、私の研究はデザイン思考の過程と そこから創造的デザインがどのようにして生み出されるのか、という問題に集中 してきました。しかし、さまざまな大きな外的な問題や私自身の能力の限界という 内的な壁にぶつかり、紆余曲折を経て今日の考え方に至りました。

7月7日の講演では、こうして現段階での私が持つに至った、(未だ体系化にはほ ど遠い)デザインにおける創造的思考と試行錯誤の関係、そしてなによりも、吉 川先生が言うところの、「現代の邪悪なるもの」の実態を知るにつけ、それが単 に設計技術者や設計倫理の問題ではなく、壮大な社会的歴史的問題まで視野を広 げないと「解」の姿すら見えてこない問題であることを痛感するに至ったのです。

今回はどこまでその私の「思い」が表現できるか分かりませんが、皆さんが、設 計論やデザインについて何か考えるきっかけしていただければ幸いです。

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第261回(2010/6/23)

発表題目

オペラへの招待

発表者

鈴木 勝

資料

内容

振り返ってみますと、1990年末頃から、モーツァルト没後200年(1791年没)とい うことで、たまたま視聴を始めたNHKのBS放送でモーツァルトのオペラがよく放 送されたのを見たのがきっかけで、オペラを鑑賞するのが趣味になりました。そ れ以来、質より量という方針で、ひたすらいろいろなオペラを、図書館のビデオ ライブラリで鑑賞し、またテレビ放送を録画して保存してきました。現在はDVD とBDを合わせて350枚くらいたまっています。オペラのタイトルは200曲くらいで すが、有名なオペラは、世界中で何度も異なる歌手の組み合わせで公演されています。

クラシックファンでない私がオペラを好きになった一つの理由は、それまでどこ かで聴いていた曲が、具体的にどのオペラのどの場面で使われているのかを知っ て楽しくなったからです。今回は私がオペラを好きになった過程を追体験してい ただくというのが狙いですので、すでにオペラに親しんでいる方には物足りない かもしれませんが、今回を入門編として、ご要望があればさらにアドバンス編を 企画していただけたらと思います。

開催回・開催日

第260回(2010/6/9)

発表題目

システム統合の方法

発表者

手島 歩三

資料

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内容

企業の合併や抜本的な組織改革に伴う情報システム統合あるいは情報システム構 造改革が現在のビジネス組織の重要な課題となっている。残念なことにシステム 統合に失敗する企業が少なくない。また、ERPパッケージなどを用いて成功した ように見える企業が経営的に窮地に陥るケースも珍しくない。

NPO法人技術データ管理支援協会は概念データモデル設計法を用いてKDDIやJFEな ど幾つかの企業のシステム統合企画を支援してきた。ソフトウエア実装方法の指 導を受け入れられなかったケースを除くと、まだ失敗していない。

現在の日本では忘れられているが、ごく基本的なソフトウエア技術を適切に応用 するなら、情報システム統合を円滑に進めることができる。

ただし、ソフトウエアと情報システムは異質である。後者はビジネス組織と密接 に関係しており、その改革はビジネス組織の改革を伴う。顧客や取引先を含むビ ジネスに関与する人々の合意と情報システム構造改革への熱意と協力がなければ 情報システム構造改革を実行できない。

企画段階で構造改革の構想作りと実行手順を計画する方法を利用者の代表者達に 説明し、利用者自らの手で取り組むよう技術データ管理支援協会は指導してきた (プロセス・コンサルテーション)。その概要を紹介する。

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第259回(2010/5/26)

発表題目

「ポアンカレ予想(ジョージ.G.スピーロ)」の紹介

発表者

古村 哲也

資料

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内容

ポアンカレ予想の証明者がフィールズ賞を辞退したことは知っていましたが、そ れ以上の関心は持っていませんでした。何故ならポアンカレ予想はは有名だけれ ど、私にとって何を言っているか分からない存在です。

たまたまジョージ・スピーロの著書が数式なしの縦書きだったので、少しは理解 できるかと買い込みました。本の構成は概略ポアンカレの業績、非ユークリッド 幾何学とトポロジーの誕生、ポアンカレ予想の内容、ポアンカレ予想証明の歴史、 数学界の暗闘、証明者ペレルマンの紹介です。

本の体裁とは別に内容はきわめて難しく、読後も何が分かったのか理解に苦しむ ものでした。ですから、私の話は、”英語を喋れない盲人がアメリカを旅した感 想”程度のレベルです。勿論、証明の中身なぞ皆目触れていません(本にもない)。 時間の無駄を覚悟できる方のみお集まりください。また、トポロジーに詳しい方、 是非ご助力ください。

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第258回(2010/5/12)

発表題目

非中性プラズマの物理学

発表者

当社技術者

資料

内容

物質の第4の状態と呼ばれるプラズマは宇宙物質の99%を占めると言われていま す。プラズマの複雑な振る舞いに物理学者達は、電磁気学を武器に立ち向かい、 様々な学問領域を広げてきました。今回の発表ではプラズマとは何か、どこに存 在するのかというところからはじめ、私が学部生のときに扱ったプラズマを用い た銀河の構造形成のモデル実験をご紹介いたします。

至らぬ点が多々あるかと存じますが、この機会に皆様の叱咤激励をいただければ 幸いです。

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第257回(2010/4/21)

発表題目

Maxwellの方程式(続1)−電磁波の理論と遅延効果

発表者

柳生 孝昭

資料

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内容

第一に、一昨年11月26日(資料 [2]・[3])の続きとして、Maxwell の方程式が 直ちに波動方程式を導くこと、及び電磁場の力学的諸概念(Energy、運動量、角 運動量)を自然に定義することを述べ、第二に真空中の電磁波の基礎理論を要約 し、第三に荷電物質の運動が、電磁場を変動させる遅延作用を説明します。

これによって、電磁力学の基礎を成した Coulomb の法則・Biot-Savart の法則 とMaxwell の方程式の矛盾(資料 [2] 5.1節)が、前者の、遅延効果の無視によ る近似性に起因するものであることが、明らかとなる。

最後に紹介する運動点電荷の生成する電磁場という、最も基本的で単純と思われ る場合の厳密な結果 (Lienart-Wiechert Potential)が、煩瑣な計算の末に漸 く得られるということは、一驚に値する(名高い Feynman の教科書も、この結 果は天下りに与えている由)。

資料は簡潔且つ完結であることを目指し、詳しい計算を省かず、しかし小字画で 書き込みとして記した。しかし口頭の説明では、主文のみ、しかも専ら主要な概 念の定義と推論結果の物理的・定性的意義に集中します。

尚、次回(5月12日)の「プラズマ物理学」の準備として御参考に供する心算で もあります。

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第256回(2010/4/7)

発表題目

科学史の常識と「真実」 −'Copernicus革命'−

発表者

柳生 孝昭

資料

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内容

前半では、先ず所謂「Copernicus 革命」の実相、即ち Copernicusの著作の数学 的精密への傾斜と審美的関心、特に惑星の見掛けの動きの自然で合理的な説明、 またこれらこそが 70年もの後に、彼自身は意図しなかった思想革命を惹き起こ す原因となったという逆説的事情について述べる。

次いで Galileo と Catholic 教会の退っ引きならない抗争の根底に在った世界 観の対立、Kepler による惑星軌道の法則の確立、更に Newton による数学的天 文学と力学の統合に至る展開を纏める。以上は昨 9月30日・10月14日、峰尾君に よる重力と磁力の発見の歴史に関する報告の、言わば運動学的な補完です。

後半は一昨年夏に開催された「科学史サマ−・スク−ル」の概要を紹介します。 特に、既に Newton に始まり、Maxwell に至って頂点に達した力の遠隔作用に対 する疑念に触れ、その解決としての次回の話題に繋げる。

また、科学史の諸相と、それらを混同することによる危険について、私見を述べ たいと存じます。

開催回・開催日

第255回(2010/3/24)

発表題目

連続体仮説と強制法(2)

発表者

山崎 利治

資料

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内容

第254回の内容に同じ。

開催回・開催日

第254回(2010/3/10)

発表題目

連続体仮説と強制法(1)

発表者

山崎 利治

資料

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内容

表題の「連続体仮説」は実数全体の基数が無限基数では2番目のものというCantor の予想(1883)であり、「強制法」は仮説が ZFC 集合論と独立であることの証明 (1963)にCohenが用いた方法である。

老人は過去を懐かしむ。しかも、理解していなかったことが、もし解ればうれし い。そこで、これは19世紀末から20世紀後半へかけ考究された話題を理解したい という努力の報告である。  
 <話の内容>   ・連続体仮説とは?(今回)    自然数/有理数実数を再定義し連続体仮説の意味を考える。
   連続体仮説を説明する概念として順序数・基数を定義する。
  ・強制法による連続体仮説の独立性証明(次回)
   ZFC模型・強制法・連続体仮説の独立性

開催回・開催日

第253回(2010/2/24)

発表題目

計算機アーキテクチャとHPC

発表者

寒川 光

資料

内容

1100、System/370、ベクトル計算機の命令セット、RISC(POWER,PowerPC)、 A32,IA64,BlueGene などの命令セットのよもやま話を、HPCの観点から考えて みました.中心は POWER と PowerPC で、レジスタブロック化、キャッシュブロ ック化とコンパイラの最適化機能の関係について紹介します。資料作成と発表用 スライド生成のLaTeXパッケージについても併せて紹介いたします。

開催回・開催日

第252回(2010/2/10)

発表題目

パターン言語−C.Alexanderの世界

発表者

河合 昭男

資料

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内容

本来建築技法として提唱されてきたパターン言語のアイデアは90年代半ばからソ フトウェア開発の分野でデザインパターンとして導入され、その後XPやRUPなど 開発プロセスにもとりいれられてきた。

昨年慶応大学SFCで作成された「学習パターン」は新たな適用事例である。今回 は事例を紹介しつつパターン言語のWhy-What-Howを中心にC.Alexanderの世界の 一片を、若干発散するかもわかりません。

河合の理解レベルで、盈進(えいしん)学園東野高校の写真も交えつつお話させ ていただきたいと考えています。

開催回・開催日

第251回(2010/1/27)

発表題目

WSPR(Weak Signal Propagation Reporter net)続編 −畳込み符号化,順次復号化による誤り訂正技術の応用例−

発表者

若鳥 陸夫

資料

内容

WSPRを書いたJoe Taylorは、1974年にBinaryPulsarsを共同発見し、1993年にノ ーベル物理学賞を受賞しました。このパルサーの共同発見によって、1915年に発 表されていたアインシュタインの相対性原理(Relatively theory)の一部を構成 する重力波(Gravitational wave)を電磁波で実証したのだそうです。

アインシュタイン自身は,地球の研究室で弱い重力波を観察できないとしていた ようですが、原子核の極での放電変化として地球から観察できたようです(オー ロラのように磁極での放電現象)。

Joe Taylorはプリンストン大学教官を退官していますが、大学に事務所、mailア ドレス、Webサイトもあります。

開催回・開催日

第250回(2010/1/13)

発表題目

Outline of Paradigm Change in Software Engineering(Christiane Floyd、April 1988)の紹介

発表者

小林 允

資料

内容

筆者(Floyd氏)は、「従来、ソフトウェアエンジニアリングにおいて支配的な パラダイムとして採用されてきたproduct-oriented perspectiveに替わって、 process-oriented perspectiveが支配的なパラダイムとして採用されるべきであ る」ということを主張している。その変更をパラダイムチェンジと呼んでいる (perspectiveという言葉についての議論は報告時に)。

報告者は以前から、パラダイムという言葉(あるいは概念)が良く理解できなか った。この論文を推奨する方がいて、勉強しようと思い論文を読んだが、十分に 理解できたとは言えない。報告することでさらに理解を進めたいと思っている。